1,600の声を前に、市民と一緒に読んだ日のこと
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【文化ゾーン見える化通信vol.2】
2026年7月26日(日)、長岡京市立図書館の3階大会議室で、Voice NAGAOKAKYOに集まった市民の声を読み解くトークイベントを開催しました。
「みんなどう過ごしたい? これからの図書館、中央公民館 〜集まった1,600の声から未来をのぞく集い〜」というタイトルのとおり、今年初夏から集めてきた1,600件近くの声を、参加者の皆さんと一緒に読む場でした。結論を出す場ではなく、意見の一致点と相違点を明らかにするための場として設定しました。
「静か」と「気軽」が同時に多い
当日、データの分析と発表を担当してくれたのは、株式会社Liquitous(リキタス)の栗本拓幸さんです(Voice NAGAOKAKYOを提供しています)。1,600件の投稿をテキスト分析し、ワードクラウドとAI分析の結果を発表してもらいました。
最多は「本」。まあ当然ですね。それに続いて目立ったのは「スペース」「カフェ」「場所」「子ども」「空間」「静か」「気軽」といったキーワードでした。
私が面白いと思ったのは、「静か」と「気軽」が同時に多く現れていることです。静かにしたい人も、気軽に来たい人も、それぞれに強い思いを持っています。一見矛盾しているようで、これが今の長岡京市民の正直な声なのだと思います。
AI分析による論点の上位は次のとおりでした。
自習、学習スペース
座席、空間デザイン
キッズ、ファミリー設備
カフェ、飲食
蔵書、メディア
コミュニティ、居場所
さまざまな学びのスペースを求める声
自習、学習スペースを求める声が最多でした。フリーの自習席、個別ブース、グループ学習室……いろんな声がありましたが、私が注目したのは少人数席への支持の強さです。
10年ほど前は7〜8名が使えるグループ学習室のニーズが多かったのですが、今は4人程度の少人数席への支持が顕著に増えています。長岡京市民の声もこのトレンドと完全に一致していました。全国を見てきた実感として、長岡京市民は現在のニーズに対して非常に敏感だと感じました。
高校生からの「家以外に放課後勉強できる場所がない」という声には、会場のあちこちでうなずく姿が見えました。
有料席については賛否ありますが、武蔵野プレイスのような事例もあります。午前、午後などに区切った有料席は、長時間使いたい人にとってカフェより安価で、市民同士が空席を巡ってギスギスするのを緩和する効果もあります。ただし地域の雰囲気に合わせた合意形成が必要で、すぐに答えを出す話ではないと思っています。
40年前につくった人たちのセンスが、めちゃくちゃいい
座席と空間デザインの話で、私が会場に伝えたかったことがあります。
図書館3階や公民館3階から見える八条ヶ池と長岡天満宮の眺望のことです。「40年前に今の文化ゾーンをつくった人たちのセンスがめちゃくちゃいい」と言ったら、共感が返ってきました。この眺望は長岡京市の図書館、公民館にとって本当に大切な資源で、これを活かさない手はありません。
景色を見ながら本を読める窓際席、眺望を楽しみながらコーヒーを飲めるスペース。そういう設計の可能性を、今回のリノベーションで真剣に考えたいと思っています。
石川県立図書館の多種多様な椅子の話もしました。利用者が自分好みの椅子と空間を探す設計で、「人をダメにするソファ」のような椅子が公共施設にあっていいと思っています。そういう発想の転換が必要です。
子どもの声が響く光景
キッズ、ファミリー設備への声も多数ありました。子育て中の方からの声が特に多く、「赤ちゃん連れで気兼ねなく来られる場所がほしい」「雨の日に遊べる屋内の場所がない」という声が印象的でした。
JR長岡京駅前のバンビオで子どもたちが水遊びをしている光景を見かけますが、ああいう魅力が文化ゾーンにもあったらと思います。屋根のある半屋外空間をどう設計するかが鍵になります。長岡京はこのエリアの緑の多さもあって、京都駅周辺より体感温度が明らかに低く、屋外空間の活用可能性は思っているより高いはずです。
ルールより文化をつくる
会場で私が一番伝えたかったのは、ルールと運営についての考え方でした。
「ルールで何とかするのはほぼ幻想です」と言うと、苦笑いしながらうなずく参加者が多くいました。行政が上から定めたルールは守られにくいのです。市民自身がルールをつくる側に回ることが、最も現実的で持続可能な方法です。
「何々してください」ではなく「こういうことをしようよ」という文化をつくっていくことが大切だとも話しました。「してください」と言われた瞬間に人は冷めます。でも「しようよ」と言われると、一緒にやろうという気持ちになります。この場所をどう使うかのルールも、市民が一緒につくっていくものにしたいと思っています。
「このまちに住み続けたい」と思える場所に
質疑応答で「費用対効果をどう考えるか」という問いが出ました。
私はこう考えます。最終的な指標は「このまちに来年も住民票を置き続けるかどうか」というサブスク的な選択です。図書館、公民館の充実度が「この街に住み続けたい」「ここを選びたい」という動機になるかどうか——それが費用対効果の本質だと思っています。
「まだリノベーションを知らない市民が多い」という声もありました。行政広報の限界は認めつつ、口コミこそが最も届くと強調しました。知っている人が知らない人に伝えてほしい。そのお願いをして、この日のイベントを終えました。
計画者が決めるのではなく、市民が試しながら決めていく。その第一歩をぜひ一緒に踏み出してください。
(文責:岡本真)